ホルモン治療にはさまざまなリスクが存在します。女性ホルモンの働きを整え、男性ホルモンの働きを抑制することで生理不順やニキビを治療するホルモン治療。高い効果が見込める分、リスクにも注意して使用する必要があります。ホルモン治療のリスクについて、正しい知識を身につけていきましょう。

ホルモン治療でニキビを撃退!リスクはあるの?

ホルモン治療とは、低用量ピルや塗り薬を使ってホルモンバランスを整える治療法です。男性ホルモンの働きを抑えることで皮脂分泌をコントロールし、ニキビにも効果が期待できます。ただし同時にリスクも存在します。ホルモン治療のリスクやニキビに効くメカニズムについて見ていきましょう。

ニキビに効くホルモン治療の種類

ホルモン治療は、体内のさまざまなホルモンの働きを助けたり抑制したりすることでニキビを治し、できにくくするという方法です。

ホルモンとニキビの関係

女性の生理や妊娠、肌環境を大きく関わっているのが女性ホルモンです。エストロゲンとプロゲステロンの2つの女性ホルモンは、生理周期に伴って分泌量が大きく変化します。これにストレスや生活習慣の乱れといった要因が加わるとさらにバランスを崩し、ニキビが発生しやすくなる肌の乾燥や皮脂の過剰分泌といったさまざまな原因を作り出します。

 

また、女性の体内では、女性ホルモンだけではなく男性ホルモンも分泌されています。男性ホルモンの分泌が過剰になると皮脂分泌が活発化するため、ニキビができやすくなる原因のひとつです。

低用量ピル

低用量ピルは避妊目的で飲むイメージが強いかもしれませんが、女性ホルモンの働きを整える目的で子宮内膜症などに使用されるれっきとした薬です。「ピルを飲むと肌がきれいになる」とよく言われるように、女性ホルモンのバランスをコントロールしてさまざまな症状を和らげます。副作用もあるものの、正しく使用すれば決して危険な薬ではありません。ピルは50年以上前から使われており、全世界で毎日1億人以上、欧米では女性の半数近くが利用するほど普及しています。

 

もともとは中用量ピルが主流でしたが、副作用が大きかったことから現在は低用量ピルが一般的です。毎日決まった時間に飲むことで女性ホルモンをコントロールし、生理不順やPMS(月経前症候群)にも効果が見込めます。

 

低用量ピルの場合、飲み始めて数週間から数ヶ月の間は副作用が出やすくなります。症状は人によって異なるものの、頭痛、むくみ、吐き気、乳房痛などです。ホルモンのバランスが整うに従って徐々に改善されます。ただし、血栓症や高血圧がある人、妊娠中の人、35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人には原則使えません。

外用剤

女性ホルモンを含んだ軟膏をニキビのある場所に塗って治療するという方法です。これは経皮吸収と呼ばれるもので、薬剤を塗った場所でホルモンが作用したあとに分解されるため、飲み薬よりも少ない量で済むのがメリット。安全性が高く、ピルとも併用可能であるなど自由度も高い方法です。

 

ただし、ホルモン治療に詳しい皮膚科医に相談の上で行う必要があります。人によっては塗った部分が赤く腫れるケースもあります。

スピロノラクトン

もともとは高血圧の治療に使われてきた薬ですが、ニキビの原因となる物質の働きを抑える作用もあります。顔の広範囲にニキビが広がっている人におすすめです。

 

2週間ほどで皮脂分泌が減り、1ヶ月ほどで新しいニキビができなくなります。2ヶ月ほど飲み続けて問題ないようなら量を減らしていきます。止めてもリバウンドは起きにくいとされていますが、生理不順や不正出血、のどの渇きや利尿作用といった副作用が出ることも。そのため、低用量ピルと併用して生理周期をコントロールする場合もあります。

どんな人にオススメ?

多毛の人

ニキビができやすい人で、局所的に生える太い毛が増えてきたようなら「多毛症」かもしれません。これは女性ホルモンの分泌が減少し、男性ホルモンの割合が高くなることで起こります。もともと毛深い人でなくても、ふだんは柔らかく細い毛の部分が太く硬い毛に変わってしまう症状です。この症状がある場合は、ホルモン治療をすることで改善が期待できます。

生理不順の人

生理不順の場合もホルモン治療が有効です。低用量ピルは元々生理不順やPMSの治療に使われている薬ですので、ホルモンバランスを整えて改善します。

皮脂が多い人

生理前は皮脂の分泌を促進するプロゲステロンの分泌量が増え、ニキビができやすい時期です。さらに生理直前になるとエストロゲン・プロゲステロンの分泌量が共に下がり、男性ホルモンが優位に立つため皮脂分泌が促進されます。生理前にニキビができやすいタイプの人にも、ホルモン治療が向いています。

 

ホルモン治療のリスク

副作用がある

低用量ピルを服用した場合、最初の数ヶ月は頭痛やむくみ、吐き気、乳房痛といった副作用が出ることがあります。ホルモンバランスがこれまでと変わることで、一時的にニキビが悪化したり、太りやすくなったりする人もいます。しかし飲み続けることで体が慣れ、徐々に症状は緩和されていきます。どうしても体質に合わない人は無理をしないようにしましょう。

妊娠する可能性が低い

低用量ピルの服用中は、妊娠する可能性が非常に低くなります。妊娠を望む場合は塗り薬も内服薬も使用することはできません。ただし、低用量ピルの服用を中止すれば問題なく妊娠が可能です。飲むことで妊娠しにくくなるといったデータはありません。

血栓症のリスク

低用量ピルを飲むと、血液が固まって血管に詰まりやすくなる血栓症にかかりやすくなると言われています。ただしこの病気は10万人に数人程度しかかからないものであり、必ずしもピルが原因でなりやすくなるとは言い切れません。低用量ピルが処方される際は必ず血液検査が行われますので、心配しすぎることはないでしょう。

ホルモン治療の方法

ホルモン治療は継続して飲み薬や塗り薬を使用し、体内のホルモンをコントロールする方法です。女性ホルモンの働きを活性化させることで、男性ホルモンの働きを抑えることができます。多くの女性がそうしているように、ニキビの原因となるアクネ菌に対処する治療薬を使う方法と大きく異なるのが、ニキビができる根本の原因にアプローチするという点。角栓を取り除いたり炎症を一時的に抑えたりしても、ホルモンバランスが乱れて皮脂分泌が過剰な状態のままでは同じことの繰り返しです。ホルモン治療ならニキビを根本から治療することができるのです。

ホルモン治療を受けるには?

ホルモン治療は、一般的な皮膚科では行われていません。大人ニキビの治療を専門に扱う医師やクリニックを探して受診しましょう。

料金はどれくらい?

初診料として2〜3,000円程度、薬代として月に1,500円〜3,000円程度です。低用量ピルと塗り薬を併用する場合はさらに少し上乗せされます。基本的に保険適用外の自由診療となり、低用量ピルの値段も病院によって大きく差があるため、あらかじめ確認するようにしましょう。

ホルモン治療ができない人

妊娠中の人

すでに妊娠している場合は、ホルモン治療を受けることはできません。

急性肝不全の人

体内のホルモンを分解する役割を担っているのが肝臓です。低用量ピルの副作用として、長く服用を続けると肝臓に負担をかけてしまう場合があります。急性肝不全を起こしている場合は、ホルモン治療はできませんので注意しましょう。

ホルモン治療は正しい知識を持って行おう

ホルモン治療はニキビ治療に高い効果が期待できます。しかし、薬には当然リスクも存在します。自分の体質や目的に合わせて、適切に使う必要があるのです。ホルモン治療のリスクを理解し、ホルモン治療の専門医に相談した上で行うようにしましょう。